1. 1960 年から 1999 年までの約 40 年間で、西側諸国のステンレス鋼の生産量は 215 万トンから 1728 万トンに急増し、約 8 倍に増加し、年平均成長率は約 5.5% でした。ステンレス鋼は、主にキッチン、家電、輸送、建設、土木で使用されます。キッチン用品は、洗濯槽や電気・ガス給湯器が中心で、家電は自動洗濯機のドラム缶が中心です。省エネルギーやリサイクルなどの環境保全の観点から、ステンレス鋼の需要は今後も拡大が見込まれています。
輸送分野では、主に鉄道車両や自動車の排気系があります。排気系に使用されるステンレスは、1台あたり約20～30kg、世界の年間需要量は約100万トンと、ステンレスの最大の応用分野です。
建設部門では、シンガポールの MRT 駅の警備員など、約 5,000 トンのステンレス鋼の外装トリムを使用する需要が最近急増しています。もう一つの例は日本です。1980年以降、建設業界で使用されるステンレス鋼は約4倍に増加し、主に屋根、建物の内外装装飾、構造材に使用されています。1980年代、日本沿岸部の屋根材は304系の無塗装材が使用されていましたが、防錆の配慮から塗装ステンレスの使用が徐々に変わってきました。1990年代に入ると、耐食性の高い20%以上の高Crフェライト系ステンレス鋼が開発され、屋根材として使用されるようになり、美観のためにさまざまな表面処理技術が開発されました。
土木分野では、日本のダム吸込塔にステンレス鋼が使用されています。欧米の寒冷地では、幹線道路や橋梁の凍結を防ぐために塩をまく必要があり、鉄筋の腐食を早めるため、ステンレス鋼が使われています。北米の道路では、過去 3 年間で約 40 箇所にステンレス鉄筋が使用されており、各箇所の使用量は 200 ～ 1000 トンです。将来的には、この分野のステンレス鋼の市場が違いを生むでしょう。
2. ステンレス鋼の今後の用途拡大の鍵は、環境保全、長寿命、IT化です。
環境保全については、まず、環境保全の観点から、高温ごみ焼却炉、LNG発電所、ダイオキシン抑制のための石炭を利用した高効率発電所向けの耐熱・高温耐食ステンレス鋼の需要世代が広がります。また、21世紀初頭に実用化される燃料電池車の電池ケースにもステンレスが使われると予測されています。水質や環境保全の観点から、給排水処理設備においても耐食性に優れたステンレス鋼の需要が拡大します。
長寿命化に関しては、欧州では既存の橋梁や高速道路、トンネルなどでステンレス鋼の採用が進んでおり、この傾向は世界的に広がると予想されます。また、日本の一般住宅の耐用年数は20～30年と特に短く、廃棄物の処理が大きな問題となっています。近年、寿命100年以上の建物が出現する中、耐久性に優れた素材の需要が高まっています。地球環境保護の観点から、土木・建設廃棄物を削減しながら、新しいコンセプトを導入する設計段階から維持管理費を削減する方法を模索する必要があります。
ITの普及に関しては、ITの発展と普及の過程で、機能性材料は機器のハードウェアで大きな役割を果たし、高精度で高機能な材料への要求は非常に大きくなっています。例えば、携帯電話やマイコンの部品では、ステンレスの高強度、高弾性、非磁性などの特性が柔軟に応用され、ステンレス鋼の用途が広がっています。半導体や各種基板の製造装置においても、清浄性と耐久性に優れたステンレス鋼は重要な役割を果たしています。
ステンレスは他の金属にはない優れた特性を多く備え、耐久性やリサイクル性にも優れた素材です。今後、ステンレスは時代の変化に対応して様々な分野で広く使用されることになります。
投稿時間: 2022 年 11 月 2 日